タイ人の食事様式
“ヌーベル・アハ〜ン・タイ その1”
まずは、題目の“アハーン”とはタイ語で“料理”という意味である(決して変な意味ではないのであしからず…)。
“ヌーベル・アハ〜ン・タイ”とは完全な私の造語であるが、訳せば「新・タイ料理」。
元々、洗練された王室の宮廷料理から、大衆屋台料理までと非常に幅広いタイ料理において、
昨今“ヌーベル”とも呼べる料理をちらちらと見かけるようになってきた。
9月上旬、私はある知人の中国系タイ人(華僑)から月餅[ゲッペイ]を貰った。
タイには17世紀以降中国から大量の移民が流入し、現在に至るまで
文化・政治・経済と華僑はタイに多大な影響を与えてきた。
その為、現在の当たり前のようなタイ文化の中には中国文化と非常に近いものが数多く存在している。
その中の一つが中秋節(陰暦の8月15日、2003年は西暦9月11日)に供える食べ物である。
日本では「月見団子」が一般的であるが、タイでは中国と同じく月餅なのである。
タイの経済発展と共に、少しずつではあるが近場ではない遠くへ外国旅行をするタイ人の数が増え始めている。
今までは、せめて中国やシンガポールへの外国旅行を楽しんでみるだけだった人たちが、
近頃はヨーロッパ、オセアニア、そして地球裏側のアメリカなどにも気軽に旅行するようになってきているのである。
それでも外国へ旅行に出られるタイ人はまだまだ限られた人たちであるが、
その旅行や留学などから帰ってきた人たちが遠い異国の文化を
タイ人社会の中に少しずつ注ぎ始めているのも確かなのである。
必然的に自国料理においてもそれが出てきたことだけなのかもしれない。
振り返れば日本でも、ヨーロッパでもそういう時期は遠くない昔にあったと思う。
フランスの「ヌーベル・キュイジーヌ」も日本の「新創作日本料理」も時代の流れで
必然的に生まれては定着していったものであるとも思う。
伝統は大切にして守るべきものであるとも思うが、新しい伝統もまた作られるものであるとも思う。
タイにおいて、一昔前に中国から入ってきた月餅は既に「伝統」である気が外国人の私はする。
→つづく “ヌーベル・アハーン・タイ その2” そのうちに掲載します。